東日本大震災により、被害を受けられた皆様や、避難生活を余儀なくされている皆様に、
謹んでお見舞い申し上げます。被災された地域の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
インテグラルも、建築業界に関わる一企業として、あらためて日本全体の住宅の耐震化に少しでも
貢献できることを願い、震災1年後の被害地域を2012年5月12、13日に訪れました。
※参考 2011年3月27日の被災状況調査報告(仙台市)
http://www.integral.co.jp/blog/other/2011/04/13-288
▼宮城県仙台市宮城野区 (比較的内陸の場所)


塀などに津波が押し寄せた跡が残っていました。
農地は塩害により使えない状態だといわれており、水田だったと思われる箇所は未だ手付かずの状況のようでした。
▼宮城県仙台市若林区荒浜 (海岸線沿いの住宅街)


津波による瓦礫はほぼ集積所に集められていましたが、上部構造が流され基礎だけになった住宅の跡が一面に広がっているという凄惨な光景でした。
その中で、1階が破壊されめちゃくちゃになっているものの、2階は形が残っているような建物がいくつか残っていました。破壊された1階に残った生活用品や玩具、所々に立っている慰霊碑などから、そこで生活していた方々がいらっしゃったことを実感させられ、胸が痛みました。
▼宮城県名取市 仮設住宅


シンプルな作りながら、デザイン性のある外装材や壁にイラストを施すなど、居住者の方の心労を
少しでも和らげようという工夫がされていました。
明るい挨拶をかけてくださる方々もおり、そこに住む方々の強さも感じることができました。
▼宮城県牡鹿郡女川町 町役場、女川港周辺


女川町の市街地は、仙台市の荒浜地区と同様、津波により上部構造が流され基礎だけが残った建物が一面に広がっているような状態でした。
また、港近くのRC造の2~4階建ての建物がそのままの状態で横倒しになっており、津波の力の大きさを実感しました。
海や山並みの美しい景色の中に、そうした非現実的な光景が広がっていました。
▼宮城県牡鹿郡女川町 仮設住宅


建築家の坂茂氏が中心となって建設された仮設住宅です。
輸送用コンテナを用い、3階建てとなっています。コンテナを用いることで工期を短縮し、狭い土地に多くの戸数が確保でき、優れた耐震性、断熱性、遮音性、耐火性能を実現できるという特徴があるようです[1]。白を基調としたアパートのような外観で、全体的に明るいデザインでした。
中央にはテントの張ってある広場があり、その下では元気に遊ぶ子供たちの姿を見ることができました。
WFP(国連世界食糧計画)の拠点などもありました。
女川町は仙台市などに比べ都市部から離れているため、今後も避難生活の支援が特に必要なのではと思われました。
[1]坂茂建築設計
「東日本大地震 津波 支援プロジェクト
Disaster Relief Projects for EAST JAPAN EARTHQUAKE and TSUNAMI」
http://www.shigerubanarchitects.com/SBA_NEWS/SBA_van_p2.htm
▼福島県いわき市 仮設住宅


筑波大学の安藤邦廣教授が中心となって建設された、「板倉構法」を用いた仮設住宅です。
スギ厚板で床や壁、屋根を構成することで、耐久性、断熱性、防湿作用に優れた木の家を建てられるという特徴があるとのことです[2]。木の素材を見せ、温かみを感じる作りになっていました。
地域の復興の一つとして、地域材を使用し、地元の工務店により建設されていました。
[2]IORI Vol.2
特集記事「杉板倉の木造仮設住宅プロジェクト」
http://sub0000158161.ms.hmk-temp.com/IORIvol2.pdf
原発事故で自宅を退去させられ、仮設住宅に入居されている方にお話を伺うことができました。
この方は、ボランティアで仮設住宅周辺の除草もされていて、みんなが少しでも笑顔になればと、
ご本人も楽しみながら作業されている姿がとても印象的でした。
また、故郷である自宅に戻りたくても戻れないことに対する不安や、隣の音などプライバシー確保が
十分でない仮設住宅特有のご苦労を伺いました。
当面自宅に戻りたくても戻れない方々は、応急仮設住宅ではなく、居住スペースや
プライバシー問題を改善した復興住宅への入居を希望されており、あらためて継続的な支援の必要性を感じました。
今回の調査では、震災による被害の大きさを目の当たりにし、我々に今できることをしていかなければならないと感じました。今後、被害を少しでも抑えるために、安全性の高い構造設計を広めていくことがインテグラルの務めであると考えています。
この記事によって現地の様子が少しでも伝われば幸いです。
5月6日 日曜日、茨城県・栃木県で発生した竜巻により、各地で大きな被害を受けました。
被害に遭われた方々へ、心よりお見舞い申し上げます。
弊社があるつくば市でも大きな被害を受けましたが、幸い自社や社員宅には被害はありませんでした。
つくば市の被害範囲は幅が約500m、長さは約15kmに及びました。家屋損壊は茨城・栃木・群馬の3県で2,000棟を超えています。
インテグラルは、竜巻による建築物への影響、構造設計の課題を調べるため、先日、特に被害の大きかったつくば市北条地区での調査を行いました。その結果をまとめ、お伝えします。

倒壊した建物 屋根が吹き飛ばされた建物
広範囲で木造建築物の倒壊や屋根葺材の飛散、窓ガラスの損壊等の被害がみられました。樹木も根本からなぎ倒され、車も飛ばされたり横転したりするほど、非常に大きな被害を目の当たりにしました。
その中での特徴的な被害を、以下に考察を含めまとめます。
【基礎ごとひっくり返った建物】

基礎ごとひっくり返った建物と地盤 裏返しになった基礎
ベタ基礎の底盤ごと、地盤から根こそぎもぎ取られ裏返しになった建物です。左の写真ですが、元々建っていた場所には割栗石がそのまま残っています。建物自体、築1年と新しく、決して根入れ深さが浅かった訳ではないと思われます。
[考察]
この建物は、新しい建物のため、耐震・耐風性能が高く、基礎と上部構造が十分緊結されていたと思われますが、そのために、基礎と上部構造が一体となって裏返しになってしまったと推測されます。
【屋根が丸ごと吹き飛ばされた建物】

片流れの屋根が吹き飛ばされた建物 屋根が吹き飛ばされた建物

屋根が吹き飛ばされた建物 吹き飛ばされた垂木のひねり金物部分
竜巻が直撃した地域では、屋根が吹き飛ばされた建物が非常に多く見られました。中でも屋根葺材が石綿板屋根等の軽い屋根は、特に多く吹き飛ばされていて、軒出がない屋根に関しても全て吹き飛ばされている建物がありました。
下段の写真の建物では、垂木の緊結に関して、ひねり金物が使われていたにもかかわらず、屋根が吹き飛ばされていました。
[考察]
小屋組への吹き上げに対して、抗力が欠けていたために耐え切れず、上記の被害が出てしまったと推測されます。一般的には、ひねり金物や垂木留め用ビス等を用いることで耐力を発揮できると思われますが、今回の竜巻による吹き上げ荷重はその耐力をさらに超えていたと考えられます。
【伝統的構法の建物】

伝統的構法の建物 被害の様子1 伝統的構法の建物 被害の様子2
比較的屋根が重く耐力壁が少ないことから、耐震診断上では危険性が高い傾向にあるとされている伝統的構法の建物ですが、被害に特徴が見られました。壁やガラス、屋根瓦の損壊の被害があったものの、屋根が丸ごと吹き飛ぶ被害はありませんでした。
[考察]
重い屋根の場合、地震発生時には建物に加わる力が大きくなり危険側となりますが、竜巻では吹き上げる下から上への力がかかるため、重い屋根が地震発生時とは逆に安全側となり、結果として屋根が吹き飛ばなかったと推測されます。
国土技術政策総合研究所と建築研究所の被害報告(※1)によると、今回の竜巻の強さを表すフジタスケール(F0からF6まで、F6が最も強い)は、F2級であると報告されています。
日本では、これまでも今回と同等のものや、さらに強いF3級の竜巻も数回発生しています。
今後もこのような現象が起こることが十分想定されます。常に危険から身を守る術と、耐震性だけでなく、風圧力を割増して設計する等、十分安全性を考慮した構造設計が必要であると考えられます。
※1 平成24年5月6日に茨城県つくば市で発生した竜巻による建築物被害(速報)
URL:http://www.nilim.go.jp/lab/bbg/saigai/h24tsukuba/h24tsukuba.pdf
国土交通省 国土技術政策総合研究所 URL:http://www.nilim.go.jp/
独立行政法人 建築研究所 URL:http://www.kenken.go.jp/
平成23年度分の「住宅・建築物省CO2先導事業」が完了しました。
本事業は平成22年度第1回「住宅・建築物省CO2先導事業」において、インテグラルがTOKYO良質エコリフォームクラブと共同提案を行なった「住宅断熱改修によるCO2削減量の見える化と証書化を目指す社会実験」が採択されたもので今年度で2年目となります。
http://jutaku.homeskun.com/syouene/co2project/co2project.html
今年度は、13の物件が対象となり、すべての物件において無事、CO2削減量の見える化と証書化を行なう事が出来ました。
CO2削減量の見える化と証書化には、ホームズ君「省エネ診断」と、「省エネ計測診断システム」を用いています。
どちらも建物の省エネ性能を診断するシステムですが、それぞれ以下のような特徴があります。
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■「省エネ診断」
建物仕様(断熱材や開口部の仕様など)と平面プランから理論Q値を
計算で求める。
■「省エネ計測診断システム」
実際に建物の温度を計測し、その計測結果を専用のシステムで解析し、
推定Q値を求める。
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二つのシステムを使用することで、より信頼性の高い診断を行なう事が可能となっています。
下の図は今年度、実施した物件の結果です。

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■Q値(熱損失係数[W/m2K])とは
建物内外の温度差が1℃の状態で、1時間に床面積1平米当たりに、
建物内部から外部へ移動する熱量をあらわしています。
この値が小さいほど、熱が逃げにくいので省エネ性能が良いといえます。
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リフォーム前とリフォーム後では、理論Q値と推定Q値が大きく改善されて(値が小さくなっている)いますので、リフォームによって、省エネ性能が上がっていることが読み取れます。
今後、住宅における省エネ性能は今以上に求められると思いますので、「住宅・建築物省CO2先導事業」を通してより使いやすいシステムを開発していきたいと思います。
2012/2/22、国土技術政策総合研究所(茨城県つくば市)で行なわれた
「木造3階建て学校の実大火災実験」を見学してきました。

実際の学校と同条件とするため、約3億円かけて作られた木造3階建ての校舎に
火をつけて、火や煙の動きなどを確認する実験です。
校舎は工法による違いを把握するため、軸組工法と枠組壁工法を組み合わせた
仕様となっています。
また、一部を防火壁で区画分けを行い、防火壁の有効性を検証していました。
▼参考資料
『木造3階建て学校の実大火災実験(予備実験)の実施について』
http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/kisya/journal/kisya20120126.pdf

1階中央の部屋(職員室)を出火元として実験が開始されました。
実験開始数分で隣の部屋や2階3階に燃え移り、約30分後には防火壁で区切られた
区画にも火が燃え移りました。
この規模の火災を初めて間近で見ましたが、放射熱が非常に熱い!
現場の警備の方からも数歩下がって見学してくださいとアナウンスが流れていました。

実験開始から約2時間で全焼・倒壊して実験終了となりました。
今回の実験結果をもとに、来年度(平成24年)に基準化を想定した仕様による
実大火災実験を行なうそうです。
「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行により、
建築材料として、木材の利用を促進するためには、火災による影響をしっかりと
把握する事が重要です。
木造建築物の動向について、今後も注目していきたいと思います。
2012年2月7日に秋葉原ダイビル2階コンベンションホールにて行われました「第5回 つくば産産学連携促進市 in アキバ(テーマ:未来を創るために~将来に備えるつくばの役割~)に当社製品住宅設計支援ソフト「ホームズ君」と新製品無線通信機能付きの省エネ健康環境モニタリングシステム「ワトソン君」を出展致しました。
公式発表300名のご来場者があり、つくば市の第一戦の研究者の方々による講演は満席で立ち見となっていました。
今回のイベントは、いつも参加している建築系のイベントと違い、実用性よりも新規性をアピールすべきと強く感じました。
インテグラルは、今後も研究開発型企業として、このようなイベントにも積極参加し、つくば発の企業として前進していきます。