2008年9月3日の日本経済新聞記事より
インテグラル 耐震診断・補強ソフト
知識不要、値段も安く
能登半島沖地震、新潟県中越沖地震、岩手・宮城内陸地震と大型地震が頻発している。「古い木造住宅は倒壊の危険性が高く、早急な耐震診断と補強工事が必要」とシステム開発のインテグラル(茨城県つくば市)の柳沢泰男社長は話す。耐震診断システムの開発だけにとどまらず、全国を回り耐震セミナーやフォーラムなどを開催する。
インテグラルの設立は1986年。住宅の図面などをパソコンで設計、見積もりを処理するソフトなどを開発していたが、95年の阪神大震災をきっかけに耐震診断システムの開発を始めた。
10万戸以上の建物が倒壊、多くの尊い命が犠牲となった震災の惨状を前に、住む人間の命を守るため住宅の耐震性を高める技術や知識、ノウハウが今後さらに必要となると痛感。耐震診断分野への参入を決めた。
倒壊の危険性がある木造建築の構造を分析をしたり、耐震性を診断したりするソフトウエアを開発、販売を開始した。住宅メーカーや建築事務所に売り込んだが、新築ブームに沸く住宅業界は古い木造住宅の改修工事には関心が薄かったという。それでも「必ずこの分野の重要性が認識される時が来るはず」とソフトの開発・改良を続けた。
転機となったのが、木造住宅の耐震診断方法と補強方法の基準が大幅に改定された2004年。2万6千戸以上の住宅が被害を受けた新潟県中越地震や、22万人超の死者・行方不明者を出したスマトラ沖地震が起きた。耐震性の向上による防災への関心が飛躍的に高まった。
同年には耐震強度偽装事件も相次いで発覚。06年の改正耐震改修促進法・改正建築基準法の施行で、耐震基準が厳しくなった。
同社が独自開発した耐震診断ソフトは自前のパソコンで使うため、従来の耐震診断システムより値段が安く、専門知識がなくても住宅の構造や耐震性を自動計算できる。
同社の診断で蓄積した3千件以上のデータを基に、専門技術者の耐震診断と併用すれば精度は飛躍的に高まるという。
新たなシステムや人材などを導入する体力のない中小建築事務所や工務店などの需要が多い。
ただ「耐震補強の重要性の認知度はまだ足りない」と話す。そのため耐震診断技術者の育成や補強工事などに関する情報を共有化するための特定非営利活動法人(NPO法人)「木造住宅耐震フォーラム」を06年に設立した。「まず、耐震化に対する理解を深めることが第一。それが結果として当社の売り上げにもつながる」と力を込める。
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