朝日新聞1月14日付夕刊記事「木造耐震 評価ズレ続出」の中で、弊社が行った一般診断と精密診断の調査結果として、"一般診断で、「一応倒壊しない」と判定されたのに、精密診断で「倒壊の可能性がある」とされたのが7軒、 「倒壊の可能性がある」から「倒壊の可能性が高い」に見直されたのが12軒あった"と紹介しています。
この記事は、弊社がまとめたソフトユーザー向け資料『モニター提供データによる調査・分析結果報告書~精密診断と一般診断の評点の比較による考察』(2006年11月1日版)中の”精密診断と一般診断の評点比較グラフ”を解説したものです。この文章では、評価のズレを過大に感じさせるものであり、弊社の調査結果資料での主張とは異なりますので、ここに詳細を補足させていただきます。
記事では、一般診断で「一応倒壊しない」(評点1.0以上)と判定されたのに、精密診断で「倒壊の可能性がある」(評点1.0未満)となるものが7軒としていますが、これらの建築年は、全て昭和56年以降のものであり、耐震改修促進法で耐震診断の対象となる昭和56年以前の物件については、0軒でした。
また、同様に、「倒壊の可能性がある」(評点1.0未満)の判定であったのに、精密診断で「倒壊の可能性が高い」(評点0.7未満)とされたものが12軒とありますが、昭和56年以前の物件においては、7軒でした。
昭和56年以前の物件は、昭和56年以前の耐震基準に則って建築されているので絶対的に壁量が不足しており接合部に金物が使われることもないので、一般診断であれ、精密診断であれ、評点が1.0を超えるもの、すなわち、「一応倒壊しない」と判定されるものは皆無です。一方、昭和56年以降の物件においては、昭和56年に耐震基準が改正され、必要とされる壁量が大幅にアップしたので、壁量や配置バランス、金物の使用等の基準を満たしていれば、 一般診断及び精密診断であれ、大多数において評点1.0をクリアします。 しかし、配置バランス、金物の使用等が建築基準法で義務化されたのは平成12年であり、昭和56年以降平成12年に建築された建物においては、それらを満たしていない場合は、かろうじて1.0を満たす物件も見受けられます。 そのような物件の場合、一般診断はあくまでも簡易診断法なので、精密診断で保有壁耐力を算出し、 配置バランスを偏心率で評価すると一般診断より低減される場合があり評点が1.0を割る場合があります。
以上のように、耐震基準が、昭和56年、平成12年に大幅に改正されているため、その建物の建築年代により、一般診断でも、精密診断でも、評点に傾向があり、これらを考慮した解釈が重要となります。
調査結果を通しての弊社の主張は、資料に詳細がありますが、以下のとおりです。