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2014年8月26日


茨城新聞に「スマートワトソン君」に関する記事が掲載されました

2014年8月26日 茨城新聞(8面)
住宅性能データ 一目で
断熱診断システム インテグラル(つくば市)

茨城新聞20140826

「中小建築業者の営業ツールとして、大きな武器になる」。建築関連システムを開発するインテグラルの執行役員、藤間明美さん(50)は、これまで分かりにくかった木造住宅の断熱効果に関する性能を〝見える化〟した自社製品の特長に自信を示す。
手掛けるのは、住宅の断熱や省エネ性能を簡易診断するシステム「スマートワトソン君」。部屋ごとに設置した小型センサーが室内の温度や湿度を計測し、10分間隔でデータを専用の受信機に無線送信。送られたデータを専用ソフトで解析、結果を分かりやすく表示したグラフを、パソコンや携帯端末を通してインターネット上で確認できる仕組みだ。
システムでは、暖房で暖められた室内の保温力のほか、天井と床周辺の温度差や外気との温度差などを測る。例えば「冬季に部屋の暖かさが維持できる時間」や「暖房を使用しない部屋における外気との室温比較」などを計測。これらの数値を解析することで、住宅の持つ断熱効果を診断する。

断熱に対する消費者の意識は1980年半ばごろから高まり始めた。藤間さんは住宅性能について、「現在の市場では『耐震』と『断熱』が両輪と言っていいほど、業界の関心は高い」と説明する。
ただ、耐震と異なり、断熱技術は不透明色が強い。「耐震は古くから継承されてきたため、技術の裏付けや信頼感は高いが、断熱技術はまだ新しく成熟しているとは言えない」。消費者にとって事業者が示す説明は不十分なケースも多く、不安感が強いのが実情だ。
これを踏まえ、同社は2011年にシステムを開発。住宅を提供する事業者側が、提示通りの性能を発揮できているか具体的にグラフで示せることで、両社のニーズに応えた。

少子高齢化が進む中、住宅の新築市場は縮小傾向に歯止めがかからない。中小の建築業者が生き残るためには、他社との差別化が急務となっている。創業以来、住宅設計を支援するコンピューター利用設計システム(CAD)ソフトや耐震診断ソフトを中心に手掛けてきた同社が打ち出した次の一手は、こうした事業者の販売へのサポートだった。
今後は新築のほか、高まるリフォーム需要も見据え、さらなるシステム開発を進めることで住宅市場の活性化を促していく。
「発電や蓄電に頼るのではなく、住宅そのものの省エネ性を高めた良い家づくりを、ソフトウエアの視点から支えたい」。目指すのは、エネルギー消費を極限まで抑えた家づくりへの貢献だ。