日刊木材新聞にホームズ君「構造EX」と国総研の「ウォールスタット」との連携に関する記事が掲載されました
2016年12月27日 日刊木材新聞(1面)
構造・省エネ基準の上位基準提案
国総研のウォールスタットと連携
インテグラル(茨城県つくば市、柳澤泰男社長)は、建築基準法や省エネ基準などの国が定める基準を上回る上位基準に対応した設計を分かりやすくする仕組みづくり”ホームズ君「日本の木造住宅をもっと強く!もっと暖かく!」”プロジェクトを展開する。構造ソフトの「ホームズ君構造EX」に、中川貴文国土技術政策総合研究所主任研究官が開発した倒壊シミュレーションソフト「ウォールスタット」との連携で、時刻歴応答解析による耐震性の見える化機能も盛り込むことになった。
同社は木造住宅の構造設計・構造計算、省エネ計算ソフトなどを開発・販売する会社で、熊本地震の被害調査を行い、調査結果も発表してきた。学識経験者らの調査結果なども受け、震度7の地震が複数回あっても倒壊せず、安心して住み続けられる住宅をつくるためには、精緻な構造計算に基づき耐震等級3を超える性能を担保した設計をすべきとの考えに至った。そのため構造EXに独自の耐震等級4相当(基準法1.75倍以上)の性能を設定、許容応力度計算による緻密な構造計算機能を2017年4月ごろをめどに追加する。さらに、建築基準法では評価しない床倍率などを計算しやすくする自動処理機能も同時期に加える。また、許容応力度計算による精緻な構造計算機能に加えて、ウォールスタットへデータを掃き出し、時刻歴応答解析による倒壊シミュレーションを行う耐震性の見える化機能を追加し、17年1月下旬に発売する。
省エネに関しても、20年の省エネ基準の義務化が、最低限の基準として外皮性能(UA値、ηAC)と仮定条件でのエネルギー消費量の計算しか行わないことに対し、設計段階でまず周辺状況(隣棟)、気象などの条件を入力し、日射取得量を隣棟による日射遮蔽なども考慮して計算できる。構造EXでプラン入力を行う段階で壁や開口部の断熱性能をあらかじめ設定しておくことで、概算UA値を確認しながら行える。日射取得量を精密に計算し、壁体の材料構成から求められる断熱性能に加え、蓄熱性能、暖・冷房運転スケジュールなど考慮した熱負荷計算をEESLISMと連動することでスピーディーにできるよう、動的熱負荷計算、室温計算機能を17年1月をめどに開発する。さらに蓄熱材の評価機能も17年夏ごろまでに整備する。
こうした設計ソフトを軸に木造住宅全体の品質を担保する仕組みを構築し、日本住宅・木材技術センターの木造住宅供給支援システム取得に向けて申請を行う計画だ。
同社では開発機能を強化するだけでなく、セミナーを通じて広く情報提供を進めていくことにしている。同社は「熊本地震の被害に対して建築基準法の見直しはされないようだが、基準法、性能表示制度の上の耐震基準で住宅づくりを進めることが必要。省エネはZEH補助制度に合わせたプランニングをする傾向にある。施主が本当に望むプランで省エネ性を高めることが求められる」と考えてこのプロジェクトを行うことにした。
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